9月/親と子が関わる時

 8月7日㈮掛川パレスホテルにて遠州地区私立幼稚園協会で職員研修会を開催しました。職員が研修を積み重ね、知識と経験を豊富にすることは私立幼稚園にとって財産となります。普段なかなかじっくりと研修を受ける機会が持てないので毎年、夏休み中に二部構成で実施しています。一部は職員全員が意思統一を図るべく、全体講習を受け、二部で得意分野を深めるように分科会にて実践研修を行なっています。
 今年の講師は『「便利な」保育園が奪う本当はもっと大切なもの』の著者で保育園3園を運営されている長田安司先生です。せっかくの機会なので行政担当者や議員もお誘いすると磐田・湖西・菊川の市議、磐田・島田・静岡選出の県議と各市の幼稚園・保育園担当者も多数参加して下さいました。
 長田先生は「3歳まで親との関わりが大切」と提唱している方です。そして「遅くまで預かっているので夕ご飯を用意した保育園が良い園として補助金を増額された」すると「もっとお迎えが遅くなる人が増えたので、お風呂にも入れるようにしたらさらに補助金が増額された」。こんなことを実施する保育園が増えると、保護者が親として子どもに関わる機会を奪ってしまうことになると訴えられました。
 小学校の学級崩壊現場の映像が紹介されました。もし我が子をあんな小学校に入学させたらと思うと、ぞっとします。また父母の愛をいっぱいもらって育ったジョンくんが、母親の出産の為に一時的に施設に入った様子がドキュメントで放映されました。一時的には施設内で慣れますが、施設内でずっと過ごしている心の寂しい子たちの対応に委縮して食事を拒否する等の拒絶反応をみせます。結局母親が迎えに来ても、母親を受け入れるのには、長い時間を要しました。いっぱいの愛情を受けて育った子でも、一定期間、親と離れるだけで心が潰れそうになるという実例でした。
 今度の「子ども子育て支援制度」でも夜間保育の実施や、年中無休で開園している園は補助金がたっぷり支給されます。これを行政が支援していると、そんな保育園ばかりになってしまい、子どもの心は壊れてしまいます。父母は「今、子どもと関わることの大切さ」を知らないのです。「親にとって便利な制度を利用すると就学後にリスクがある」ことを話さなければならないことを行政関係者は分かって欲しいです。
 そして私立幼稚園は「子どもの側に立ち続けている」ことを理解して頂けたらと思います。
 28年度より『学校法人龍の子学園認定こども園幼保連携型龍の子幼稚園』として新園舎と共にリニューアルする訳ですが、『子どもの為の子どもの園(その)』という建学の精神は、少しも揺るぎません。むしろ子ども達の遊び体験の環境を整え、自由闊達に伸び伸びと生活できるようになります。その中でこの時期に大切な親子の関わりを推奨していきます。