6月/龍の子生活で得たもの

卒園児小3と小1のお母さんより嬉しいお手紙を頂きましたので紹介します。

 私は現在小学校で支援員をしています。授業中に困っている児童の傍について支援をする仕事です。
 先日、学校で劇の観賞会があり、その感想文を書く際になかなか書けなくて困っている児童がいました。「どうしたの? 思ったことを何でもいいから書いてごらん!!」と言っても「わからない」「何も思わなかった」の繰り返し。『困ったな…』と思っている時に、ひまわりの「ないしょばなし」(園児と園長・教頭との交換ノート)でやった口述筆記を思い出しました。回答しやすそうな質問を幾つかしてみました。「あの場面、私はこう思ったよ。あなたもそう?」「最後は無事にたどり着けてホッとしたよね。途中、もしかしたらゴールまで行けないんじゃないかと思わなかった?」等々質問をしていくと「あー、うんうん、そうだった」「えー、私はそう思わなかったよ」と返事が返ってきました。もちろん「わからない…」という事もありましたが、返ってきた返事をメモに書きとめました。4つくらいにまとめたメモを渡して「ほら、こんなに感じたことがあったよ。これを繫げて書けば、感想文になるよ」と言うと、その子は黙ってメモを見ながら文章を書き始めました。しばらくして「先生、書けたよ!!」と、見せてくれた感想文は、きちんと自分の言葉で書かれた文章になっていました。その時、その子の安堵した表情を見て、私もとても嬉しく安心しました。
 この出来事を月末の報告書に書いて提出したところ、支援員の研修会での良い例として紹介されました。「口述筆記は有効な技術だったんだ」、「子どもの心を理解したり、寄り添ったり、他では出来ない経験をさせてもらっていたんだ」と改めて気付かされました。他にも寄ってくる児童を抱っこしようと自然に思える事と、5年間書き続けた感想文や日々のあゆみで鍛えられた文章力(笑)も、とても役立っています。
 在園していた時は日々に追われ気が付きませんでしたが、実は、園行事や子どもと向き合う日々を通して、たくさんの知識とたくさんの経験を得てスキルアップする事が出来ていたんだと思います。
 特に今、子どもと過ごす職に就いたのでそう思うのでしょうが、きっと他の仕事でも、日々の生活でも、龍の子で学んだ事が活きる時が多々あると思います。
 今、在園中の保護者の方にも、下の子がいたり、頼る人がいなくて大変な方もいると思いますが、ここでの経験は、絶対、糧になります。あせらずご自分のペースで園生活を楽しむようにお伝え下さい。
 園長先生をはじめ、龍の子の先生方、5年間私達家族を育ててくれて本当にありがとうございました。