9月/夫婦で共通理解を

 リオ五輪日本人選手の活躍に感動の連続でした。萩野公介選手の競泳400m個人メドレー金メダルから始まり、内村航平選手の体操個人総合の大逆転金メダルは大興奮でした。磐田出身の伊藤美誠選手、水谷隼選手の大活躍も素晴らしかったです。多くの選手がインタビューでスタッフや両親等、周囲への感謝を口にします。自分は愛されている、多くの人に支えられているとの自己肯定感が頑張りの源なのだと感じます。
 今年も8/5㈮6㈯7㈰と3日間、お父さん講座を開催しました。講座には延120名を超えるお父さんに参加して下さいました。仕事帰り、あるいは休日にご参加下さり感謝申し上げます。お父さん講座で訴えたかった事は2点です。一つは「お母さん(母性)とは違うお父さん(父性)らしさを発揮して下さい」。もう一つは「夫婦間で子どもの育ちを共有して下さい」という事です。夏休み・お盆休みと時間的に余裕のあるこの時期に「お父さん講座」を開催している理由でもあります。主なテーマは次のような事です。

1.夫婦で共通理解
 お父さん講座で『子どもチェックリスト』をお渡ししました。夫婦で子どもの事について話し合ってみて下さい。
①子どもはよく笑う ②毎日楽しそう ③好きな事には目が輝く ④よく遊ぶ ⑤親によく甘える ⑥いろいろな事に関心を示す ⑦子どもなりに自己主張する ⑧視線を合わせて話す ⑨親の過剰な干渉や介入を嫌がる ⑩機嫌の回復が早い ⑪朝、自分で起きられる ⑫幼稚園での出来事を話してくれる ⑬悩みを打ち明けてくれる ⑭親の意見を求める ⑮我慢出来るが、我慢し過ぎない 
「出来る」「出来ない」ではなく、一つひとつの事柄を、それぞれ事例を出しながら話し合う事で夫婦間の我が子への認識が共通理解出来ますね。それが大切です。

2.保護者の役割
 保護者の役割とは何でしょう?子どもの心に添ってあげる事は大切ですが、子どもに判断を委ねる事は適切ではありません。子どもは経験が少なく将来を見通せないからです。例えば予防注射に行って「どうする?」と聞けば、多くの子は「やめる!」と答えます。大人は予防注射を打つ事で「病気にならない」或いは「かかっても軽くすむ」という将来を見据えて考えます。しかし子どもはいくら理由を説明しても「病気にかかるイメージ」がわきません。だから今注射すれば「痛い」、しなかったら「痛くない」の選択になる訳ですから「イヤ!!」で当然です。だから保護者は「我慢しようね」で注射させるべきです。このように今しか見えない子どもに判断させるのではなく、将来を見据えた判断は保護者が行なうべきです。

3.心を平静に
 3歳児までは自己中心的です。自分からケンカを仕掛けても、絶対相手のせいにします。でも大人でも、言い争いになった時は、相手の事よりも、自分の主義主張を言いたくなりますね。このように「心が平静でない」時は、誰もが3歳児以下になってしまうのです。だから「泣いている」「ぐずっている」等はまず「心を平静」にしてあげましょう。具体的には「辛かったね」「嫌だったね」「ごめんね」と抱っこをして下さい。落ち着いてきたら「どうすれば良いかな?」と自分で考えさせてあげて下さい。そして子どもの考えに「同意・共感」してから背中をそっと押してあげて下さい。

4.良い睡眠
 夏休み期間は親戚が集まる機会も多く、つい就寝時間が遅くなりがちになります。睡眠時間は幼児では10~11時間が必要だからと通常の起床時間をずらしてまで寝かせないで下さい。多少睡眠時間が不足しても起床時間を同様にお願いします。そうするとその日一日は頭がボーッとしても早く寝れば一日で元の生活に戻ります。それを遅くまで寝かせていると元の生活習慣に戻すのに何日もかかってしまいます。
 良い睡眠を摂っている子は、自分から起きられます。または1回起こしただけで直ぐ起きられます。何回も起こさなければならない子は睡眠に問題があります。睡眠時間が短いか、浅い眠りの繰り返しだと思います。浅い眠りの場合の原因は、お昼寝時間が長いか、日中の運動量が少ないかです。問題がある場合は、原因を夫婦で話し合ってみて下さい。成長ホルモンが分泌される22時~26時のゴールデンタイムに深い眠りにつける配慮をお願いします。

5.トラブル対処法
 子どもが「○○ちゃんに意地悪された!」と訴えて来たらどうしますか?話しを良く聞き、「○○ちゃんに止めてって言いな」または「先生に○○ちゃんが意地悪するって言いな」と親が答えを出したり、指示をしていませんか?子どもは意地悪された事も辛かったのですが、○○ちゃんに「やめて!」あるいは先生に「○○ちゃんが意地悪する」と言えなかった事も辛かったのです。その時の気持ちを分かって欲しいのです。「○○ちゃんに止めてって言えなくて辛かったね」「先生に言えなくて辛かったね」と同意・共感してあげて下さい。良かれと思って答えを出すような指示をしているとそれが出来ず「親に話すのを止めよう」と成りかねません。そして心が落ち着いたら「今度○○ちゃんに会ったらどうしよう?」と自分で考えさせましょう。

6.ゲームへの関わり
 ポケモンGOの話題があちこちで出ています。ゲームがより身近な存在になりそうで不安です。10歳以下のゲームはなるべくさせたくありません。何故なら空想と現実の区別が出来るようになるのが10歳からだからです。10歳以下でゲームを多くやっていた子が現実と空想の世界の区別がつかず「人を殺してみたかった」等という恐ろしい事件になるケースもあるのです。幼児期は空想の世界の前に実体験を多く経験し、そこから少しフィクション・ファンタジー(絵本などのお話)の世界を楽しむ事が大切です。また十分な実体験(身体を使った経験)をしておけば、ゲーム等空想の世界に入っても、のめり込まずに卒業出来るというデータも出ています。ゲームは一日でも先送りする事が子どもの心の危機回避に繋がります。