10月/抱っこで大満足

 子ども達が張り切って運動会練習をしています。特にひまわり(年長)さんのリレーに対する意気込みはすごいものがあります。憧れ続けたリレーが出来る、バトンを持つ事が出来る、という喜びは大人の想像以上のものと感じます。リレーには大切な事がいっぱい詰まっています。チーム全員で頑張る=走るのが速い子でもビリでバトンを受け取るかもしれません。初めての経験で辛く苦しくてもチームの為に全力で走る。逆にトップの位置でバトンを受け取り、生まれて初めて先頭を経験し、舞い上がってしまう子もいるでしょう。嬉しい気持ちを感じつつ全力で走る。自分が、走り終わった後もチームの動向を気にしながら必死に応援する。リレーには、普段では経験出来ない要素がちりばめられています。
 また小学校以降は、リレーは速くて選抜された子だけが走るケースもあります。もしかしたら龍の子運動会のリレーが最初で最後という子もいるかもしれません。どの子にも「リレーは楽しい」と感じてもらえるように全職員で盛り上げていきます。
 リレーの練習前に少し体調のすぐれない子がいました。「○○ちゃん、走れそうかな?」と聞くと「うん、大丈夫!!」。それを聞いていた同じチームのお友達が「○○ちゃん頑張ってよ!」と声かけをしました。自然にこんな思いになれるってステキだなと思いました。
 7月のお誕生日会の後、れんげ(年中)1組の晴翔くんのお母さんのあゆみがステキだったので紹介します。

 園での7月の誕生日会、とても楽しみにしていた晴翔は、朝5時20分に起き、「朝だよ、起きよう」と私を起こしてくれました。主人も半休を取りました。主人も私もこの日をとても楽しみにしていました。
 ゆうぎホールに入場してきた晴翔は、ニコニコ笑顔で少し恥ずかしそうな表情をしていました。誕生児の紹介では元気に自分の名前を言えましたが、「何歳になりましたか?」と聞かれると、「わからない」と答え、写真撮影でもカードで顔を隠してしまったり、肩車をしてもらっている時もフラフラしていたり…、気になる姿が見られ、何かのサインだなと感じました。お部屋での誕生会を終え、私達が帰る頃、寂しくて折角頂いた誕生日ペンダントとカードを投げてしまいました。
 すぐに学年主任の佳奈先生に相談しました。後から、息子が落ち着くまで40分抱っこして下さったと聞き、胸が熱くなりました。そして、私達に今の晴翔の姿とこれからの事を丁寧に話して下さいました。最後まできっちり関わって下さり、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
 その夜、晴翔との抱っこの時間をたくさん作りました。すると、
「今日幼稚園でやったことを話すね」
「明日のことも話すね」と晴翔からいろいろなお話をしてくれました。寝かしつける時にニヤニヤ笑っている晴翔に「どうして笑ってるの?」と聞くと、
「明日の抱っこが楽しみ過ぎて寝られない」
「今日、抱っこした夢を見よう」
「朝、また抱っこしたいから早く起きるね」という言葉が返って来ました。そして、「やっぱり今から抱っこしたい!」と。下の子に「ちょっとにいにと抱っこしたいから待っててね」と言い、もう一度抱っこをしました。
「今までこうやって抱っこして欲しかったんだね。気づいてあげられなくてごめんね」と言うと、優しい声で「いいよ」と言ってくれました。
「心臓の音が聞こえる」と言ってきたので、お腹の中にいる時の話や産まれてきた日の事、いろいろな人が誕生を楽しみにしていた事、そして産まれた時、私と主人がどんなに嬉しかったかを話しました。晴翔もとっても幸せそうな顔をして、すーっと寝つきました。
 誕生日会で晴翔が出したサインのお陰で心に残る最高の日となりました。そして、龍の子幼稚園に入園し、すてきな先生と出会い、本当に良かったと思いました。親子の絆を深めるきっかけを作って下さり、ありがとうございました。

 子どもが泣いたり、ぐずったりすると「どうして?」とか「いいかげんにして!!」と親であっても思えてしまう時もありますよね。でも、子どもが崩れているのは必ず理由があるのです。まずはゆっくり気持ちを聞いてあげて、その上で「悪かったね」「辛かったね」「ごめんね」と同意共感してあげられるといいですね。
問題解決よりも先に「自分の気持ちを分かって」と感じるのが子どもです。晴翔くんのお母さんは、いっぱい抱っこして話を聞いてあげたから晴翔くんは安心して色々な話が出来たのだと思います。
また子どもの為と思い、高価なオモチャを買ってあげたり、遠くのテーマパーク等に連れて行く事で、子どもが喜んでくれると思われている方が多いようです。それはそれで嬉しいものですが、日々の生活の中で、子どもが嬉しいのは、自分を大切に思ってもらう瞬間です。それが対面密着抱っこになります。毎日5~10分間抱っこをしながら「あなたの事が一番好き…」「あなたが産まれてきた時にはね…」等の話が出来たら子どもの心は満たされ、頑張る事も出来るようになります。
 9月~運動会までは、運動会練習の為、神経を集中させて練習をしているので精神的にも体力的にも疲労感があると思います。家に帰ってわがままを言いたくなる事もあるでしょう。そんな時にまず抱っこをして「毎日頑張っていてえらいね」「疲れちゃうよね」等といっぱい褒め讃えて下さい。
そして「運動会楽しみだな」と言ってあげて下さい。「運動会でやる事教えてあげるね」等と、子どもはすぐ気持ちを切り替える事が出来るはずです。そしてお父さんお母さんが応援してくれるから「練習を頑張ろう」と明日から龍の子での生活を意欲的に送る事が出来るでしょう。
子どもが頑張り過ぎてしまうくらいのこの時期に、ご両親の愛で自己肯定感に満たされた子になって欲しいと願います。