11月夢の会の仲良し太鼓

 今月は「夢の会」がクラス別開催で行なわれます。夢の会は普段の園生活とは違う夢の世界に行くような経験をさせてあげたいと開園当初から開催しているものです。ただし開園当初は発表会的な意味合いもあり、少し着飾って踊りをすることをしていました。しかし年少児などがお客さん(保護者)が見ている前だと、緊張して動けなくなってしまうケースもあり、リラックスした状態にするためステージに少し劇遊びを取り入れました。すると子ども達は無理なく劇中人物になり、「喜び」や「やる気」を踊りを通して表現することが自然にできるようになりました。そして「子ども達にフィクションの世界を充分に味わってほしい」「何か(登場人物)になりきってイキイキと表現することを楽しんでほしい」と劇遊び部分を大きくして現在に至っているのです。
 ただ年長児の「仲良し太鼓」だけは別物でした。開園当初から年長男児の演目として「夢の会は仲良し太鼓」が定番になっています。年長女児にも定番の演目がありましたが、ある年の年長児担任より「別の題材で劇遊び風に踊りを入れて表現していく物をやってみたい」との申し出がありました。龍の子で行っている「劇遊び」は、決められているセリフを言ったりする物ではありません。先生と子ども達でフィクションの世界で登場人物の心情をキャッチしあって対話していくものです。劇中人物である子ども達の発案で本来考えていたストーリーとは変化していく場合もあります。先生が対立物や協力者として演じる中でさまざまな対応やストーリーを展開していくことができるのです。しかし、子ども達同士でそれをやったらストーリーは目茶目茶になってしまう可能性があります。年少・年中と劇遊びを十分に経験して年長になると、フィクションの世界を子ども同士で成立させて行くことが可能になります。
 仲良し太鼓も、変えてみたいと思ったことは何回もあります。第10期生は男児を2グループに分け、1グループはオープニングで仲良し太鼓、もう1グループはラストで「め組のパレード」を演じました。保護者からの不満はまったくありませんでしたが、卒園する時に「やっぱり仲良し太鼓をやりたかった」という子がいました。龍の子男児=仲良し太鼓という想いが強いのだなと感じました。
 中学生になった第9期生のSちゃんの「先生、仲良し太鼓ってまだやっている?あれ本当は踊りたかったんだ!」という言葉をきっかけに女の子もやらせてあげようと思いました。その翌年より仲良し太鼓は男女一緒に話を聞き、練習をするようにしました。そうはいっても女児も自分達の演目の練習があるため、仲良し太鼓の練習時間はわずかです。ところが昨年、女児が夢の会終了後に舞台で仲良し太鼓を踊る姿を見て驚きました。わずかな練習時間にも関わらず、見事に演じ切ったのです。その姿を見た時に「女の子も夢の会で仲良し太鼓を演じさせてあげたい」と思いました。そして年長児はもっと内容の濃い劇遊びができるはずなのにその機会が少ないことなども合わせて、新学期当初に年長児担任に私の想い「仲良し太鼓を全員で行ない、別の機会に劇遊びを行なうことを検討してほしい、ただし担任の考えを尊重するので熟慮してください」と伝えました。しばらくして担任より「仲良し太鼓をクラス単位で行なう」「劇遊びは夢の会とは別の機会に設ける」ことを決めたと報告を受けました。
 年長児保護者には1学期終了式の際に経過と開催方法を口頭で「このことはお子さんには伝えないでください。担任から直に子ども達に伝えたいからです。担任より先に別の伝わり方をすると担任の想いが素直に心に届きにくいのでお願いします。また他学年の保護者などへの口外も避けてください。そこから年長児の耳に入ることも考えられます」とお願いしました。これは園だよりを読んだみなさんも理解してください。
 年長児が龍の子幼稚園に通っていた証として夢の会で「仲良し太鼓」を踊ることを関係者のみなさんで賛同していただけたらと願います。