7月/噛むことの大切さ

 5月23日に龍の子幼稚園で「家庭教育出前講座」を開催しました。この講座は磐田市からの依頼を受けて、保護者に子育てに前向きになってもらう為に開催しているものです。今回は食育の吉田隆子先生に講演していただきました。吉田先生は大学講師をされ、今はNPO法人「こどもの森」という子どもの食育教室を主宰されています。その教室では「美しいあいさつ」「お茶を飲む」「好奇心をみせよう」「チャレンジしよう」そして、「ゆったり過ごそう」を実践しているそうです。
 講義はスライドで実例を示しながらでしたのでとても分かりやすいものでした。「快適な生活」で体が自然に育たなくなった。体の調子が生活環境の中で狂わされている。だから、土に触れるなどの外遊びを増やし、五感を刺激することが幼児期には大切。快食・快眠・快便の子育てが重要。そして食べることに関しては、0-2歳は「自分で食べる」「一生懸命食べる」咀嚼の時期、2-3歳は「一緒に食べる」「まねて食べる」共食の時期、3-5歳は「楽しく食べる」共食・会話の時期、と話されました。
 特に強調されたのが噛むことの重要性です。1回の食事の噛む回数が弥生時代は4,000回、鎌倉時代は2,654回、江戸時代は1,465回、戦前は1,420回、そして今は620回だそうです。弥生時代や鎌倉時代という大昔は特別としても、江戸時代から戦前までの約400年間の噛む回数があまり変わらないことにまず驚きました。それから70-80年で半分以下になってしまったことにも驚きます。食の内容が随分変化し、あまり噛まなくても良い物が多くなっていることも要因でしょう。
子ども達には「一口30回噛むようにしよう」と話していますが、なかなか難しいのが現状です。でもその一口30回を20品目分行なって、やっと600回です。極端に減ったといわれる600回ですら難しいのが現実なのでは、と思われます。まずは「良く噛む」ことを意識し、次に「噛む回数を増やして」いって下さい。
 噛むことで「食べ物を砕くので栄養が体に行きわたる」「顎が丈夫になり力が出せる」「脳の働きを活発にする」「唾液が出て虫歯・歯周病予防になる」など良いことは多数です。
逆に噛む回数が少ないことで「顎が小さくなり、歯の本数が減る」現象も起こり始めているそうです。この話を大学の講義の中ですると「私は顎が小さくて、歯が納まらないので2本抜きました」という学生がいました。虫歯でもない正常な歯を抜かなければならないなんて深刻な事態が、現実に起こっていることなのだと実感しました。
 最後に「食べることが命を守る」「食べることは生きる証」「食べることがちゃんとしていると子どもの心を動かす」だから「楽しい食卓」を作って下さいと締めくくられました。この夏休みに「食」や「噛む」ことを見直してみて下さい。
 余談ですが、吉田先生は大藤の出身。吉田先生のお母さまは中学校教諭で、私はその鮫島先生の最後の教え子でした。勉強の大嫌いな私でしたが、いつでも褒めて下さる鮫島先生の数学だけは大好きでした。
 少し前に「個(孤)食」の子は、(寂しさから)犯罪率が高いと発表されましたが、関東の少年刑務所に収監されている少年のほとんどが、家族で食事をしたことがないそうです。下記は、「変化するヒトの食習慣」という毎日新聞掲載の「時代の風」の文です。なかなか読むのに時間がかかるかもしれませんが、夏休みという時間的余裕もある時期の園だよりなので敢えて掲載させてもらいました。ぜひ家族の食事について考える機会になればと思います。
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 『園だより』は在園児の他、龍の子友の会(卒園時に希望入会)の方をはじめ園に関係している方々や応援していただいている方に送付しています。また、『かわらばん』は地域への回覧、ホームページに掲載しています。先日、読者の方からハガキを頂戴しましたので、ご紹介します。

 先日、龍の子『園だより6月号拝受』有難うございました。
 行事日程の中から初夏の香りが、父母・園児たちの笑顔が、先生方の愛情が湧き出てきます。保護者からの感想を楽しく読ませていただきました。飾り気のない素直な気持ちに溢れた言葉のひとつひとつに感動しました。お母さんだけでなく、お父さんやおじいさん、おばあさんの声が加わればステキだなぁと思いました。
 そして、『たつのこかわらばん』これがまたステキです。たくさんの行事の中から楽しいことが「こんなふうになっているんだよ」読んだ人は皆ウキウキ。こども園を見学したい。ムズムズ、ワクワク心がうごめき出すと思います。次の『かわらばん』が待ち遠しい!私もそのひとりです。
 H28年度もの創り大賞最優秀賞受賞おめでとうございます。龍の子幼稚園の益々の発展をお祈りいたします。