5月新緑の季節

 新年度スタートから1カ月が過ぎ、新しい環境にもだいぶ慣れてきた子ども達。身支度を終えると園庭に駆けていき元気いっぱいに遊んでいます。ピカピカの色帽子も随分と個々に馴染んできました。春の花々やてんとう虫・アリ・ダンゴムシなどの小さな虫を見つけて、園庭は子ども達の興味が尽きないようです。また、お友達の名前も覚えて、仲良く遊んでいる姿に、子どもの持つ力を感じます。
 さて、新緑がまぶしい季節 になりましたね。新緑の青葉に清々しさを感じる頃になると思い出すことがあります。かつてクラス担任をしていた頃のことです。クラスのある男の子が大きな葉っぱを持ってきてくれたのです。「せんせ〜い!見て〜‼︎」と、自分の顔の前に。顔が隠れるくらい大きな葉っぱ。その葉っぱの4つの穴からは目がキョロキョロ、鼻と口が見えていました。思わず「うわ〜‼︎すご〜い‼」と叫んでしまいました。「ねえねえ、その大きな葉っぱは何ていう葉っぱなの?」すると、その子が「これね〜、朴(ほお)の葉っぱだよ〜!家に朴の木があるんだ〜。その木にいっぱい大きな葉っぱがついているんだ〜」と教えてくれました。大きくて表面はツルツルとしていて、爽やかな青い香りが…。その子は、「この葉っぱにお給食を置いてみんなで食べたいな〜!ぜ〜ったいに美味しいに〜!」その考えに思わず「賛成‼︎」と嬉しくなってすぐ返事をしました。初めて手にした朴の葉とその子の感性に感動‼︎そして別日に、クラスの人数分の朴の葉を持ってその子は登園してきました。クラスの子ども達も大きな朴の葉を手に「葉っぱで給食!葉っぱで給食〜‼︎」と大盛り上がりでした。その日は短縮日で給食はパンがメインの日でした。朴の葉をお皿の代わりにして食べたパンは、格別の美味しさで特別な一日になりました。何年経っても感動体験は、心にずっとイキイキと残っています。
 5月2日は『八十八夜』ですね。「♪夏も近づく八十八夜~♫」と歌にもあるように、立春から88日が過ぎ、88日の夜に摘み取られたお茶は、昔からいつまでも長生きする縁起物として慕われています。そしてお茶にはカテキンやビタミンCがたくさん含まれています。お茶は、磐田市の特産物でもありますね。『いわた茶』は、渋みと旨みが調和し味わい深さがあり、爽やかですっきりとした香りと、澄んだ水色(すいしょく)が特徴のお茶だそうです。日本には、地元でとれたものを旬の時期に食べるのが健康によいという考え方があります。地産地消で、お家でもお子さんとゆっくりお茶を飲みながら、会話をするひと時を楽しんでみてくださいね。
 お茶の葉のように飲んだり食べたり使ったりできる葉が、春にはいろいろありますね。桜の花は、塩漬けにして桜湯として縁起物として飲みますね。『桜の葉』も、塩漬けにしたその葉で餅を巻いて『桜餅』にして食べることができます。端午の節句では、じょうぶに育ちますように、出世しますようにとの願いを込めて、薬草の『菖蒲の葉』を使って『菖蒲湯』を沸かし入ったりします。また、『柏の葉』で包んだ『柏餅』は、子どもを思う親の気持ちを新芽が伸びるまで地面に落ちない柏の葉に例えて、子孫繁栄と縁起を担いでいるそうです。抗菌作用のある『笹の葉』で包んだ『ちまき』は、悪いものから守ってくれる力があると言われているそうです。
 一つひとつに大事な意味が込められていますね。他にも、『シソの葉』や『柿の葉』…など、いろいろとありますね。ぜひ、お子さんと季節行事を通して意味や由来に興味関心を持って共に調べ「〇〇なんだね〜。」「へ〜、そうなんだ〜。」と同意共感をしながら発見を一緒に楽しんでみてください。お家の方が知っていることや経験したこともたくさん伝えてあげてくださいね。
 5月30日(月)に『子どもの育ちと食事〜げんきな心と体は食事から〜』と題して、0〜2歳のお子さんをお持ちのお父さんお母さんを対象に、本園にて家庭教育出前講演会を開催いたします。講師はNPO法人こどもの森の理事長 吉田隆子先生です。『食育』ってなあに?バランスの良い食事ってなあに?家庭の食事がもっと美味しく楽しくなるステキなお話が聴講できると思います。お知り合いに対象の方がいらっしゃいましたら、是非お声がけください。