12月/幼児教育・保育の無償化で考えること

 令和元年があと1ヵ月となりました。平成31年度で4月がスタートし、5月から新元号「令和」となりました。新しい元号にもっと戸惑うのかと思いましたが、どの人もスムーズに受け入れられたように感じます。
 毎月実施している「こども園井戸端会議」(こども園のことだけでなく未就園の親子の育児相談も含む)で令和生まれのお子さんが何人か来園しました。「うわぁ、令和生まれさんが入園してくるんだ。平成も後少し経てば、『昔に』なってしまうんだな」と感じました。自分は昭和生まれなので大昔になってしまいますね。
 記念すべき令和は10月より消費税が8%から10%への増税が行なわれました。そして幼児教育・保育の無償化もスタートしました。無償化に関して本来は幼児教育に限定する予定でした。日本の幼稚園児の90%近くが私立幼稚園に通っています。公立園から見て保育料の高い私立園への入園が経済的な事情によりできないとなればおかしい。どんな所得の家庭に於いても質の高い幼児教育を受けられるようにするべき、との考えからスタートしました。ところが政府は私立幼稚園に配慮しながらも、消費税増税と社会保障をセットで行なった方が理解しやすいと考え、保育園を社会保障の対象と位置づけ、そこに幼稚園も抱き合わせることで「子育て支援」としました。
 そこで1号認定児(幼稚園児)と2号認定児(3歳以上の保育園児)との保育料格差(保育園の方が長時間のため保育料が高い)など矛盾を補正することになったのです。具体的には月64時間以上就労している1号は新2号という新たな認定区分を作り、延長保育(園終了後の預かり)の有料部分を助成するという制度です。月64時間というと1週間16時間、週5日勤務だと3時間強になります。3~4時間勤務で幼稚園終了後に預かり保育を利用しなければいけないという人は本当にごくわずかのはずです。
 ここで大切なことは「夕方までタダで預かってもらえるなら利用しなきゃ損!」とか「幼稚園も保育園も無償なら保育料の高い保育園の方が得!!」など、損か得かで判断しないでください。
 一昨年、韓国の大学教授と話す機会がありました。韓国は数年前から幼保とも無償化になっているそうなので、「保育園を希望する割合が増えませんでしたか?」と聞くと「無償化後も、幼稚園と保育園の割合はまったく変わりません」とのことでした。「なぜですか?」と聞くと「韓国は学歴優先社会なので、今が損か得かではなく『我が子の将来を見据えてどうすることが良いか』を判断するからです」と答えました。学歴社会には少し抵抗がありますが、我が子の将来を考えて幼児期にどのような環境で過ごすかは、とても大切なことだと思います。
 もう少しで新年を迎えます。毎年言っていることですが、簡単で良いので家の中を掃除(あるいは整理整頓)して新たな年を迎える準備をしてみてください。また年内で会うのが最後であろう人には「佳いお年をお迎えください」(「よいおとしを」で良いと思います)そしてお正月には「明けましておめでとう」を言うようにしてください。日常の挨拶はいつでもできますが、この時にしかできない挨拶を逃すと1年経たないとできなくなってしまいますから…。
 また、まだ「夢の会」や「2学期終了式」とありますが、本年も龍の子幼稚園にご理解とご協力いただいたことに感謝申し上げます。ありがとうございました。