6月/龍の子の賞状の由来

 龍の子幼稚園は、数多くの賞状があります。最初に出来た賞状は「もんきー賞」でした。ある小学校の授業参観に行くと小学校1年生が体育の授業で雲梯をやっていました。ほとんどの子が1-2本持っただけでバタバタと落ちてしまいます。約30人のクラスで最後まで渡り切った子は2名(ともに卒園児)だけでした。園内で雲梯を意識してやらせたことはありませんでしたが、出来ない子が多いことに驚きました。翌日、何人かの子ども達を集め「ねぇ、この14本の雲梯を渡り切ったら賞状あげるよ」と言うと、すぐにその子達は「やる」「僕も」「私も」とやり出しました。そして数人の子が出来ました。「先生、賞状は?!」と聞かれ「うーん、おサルさんみたいだったから『もんきー賞』にしよう」と大急ぎで「もんきー賞」の賞状を作成しました。その賞状を見た子達が、次々と雲梯に挑戦します。「たった1枚の賞状で、こんなにも子ども達がやる気になるものなのか」と驚きました。2~3日すると「先生、私1本抜かしで渡れたよ」「僕は、後ろ向きで渡れたよ」と言ってくる子がいました。「1本抜かしは、もんきー賞より、すごいから『すーぱーもんきー賞』だね」「後ろ向きは、『うるとらもんきー賞』だ」とその場の思い付きで命名し、すぐ賞状を作りました。これがさまざまな形で発展し、現在に至っている訳です。
 さて今年より賞状と賞状の認定者を担任から、どの先生でも、と変更しました。理由はいくつかあります。まず龍の子幼稚園が認定こども園となり、職員数が多くなりました。園児にとって、担任や各学年付の先生だけとの関わりに限定されないように多くの先生と触れ合ってほしいと考えました。そのためには、「賞状の認定・発行をどの先生でも良いことにしよう」。そしてその先生のことを知ってもらうために、賞状の裏側にその「先生の特徴を記してみよう」となりました。また「鉄棒・みにー賞」と記してありますが、どんな内容で獲得したのか分かりにくいかもしれません。保護者が「みにー賞」とは、「鉄棒の足抜き回りなのか」と理解し、「どんなふうにやったの?」と会話を広げ、「次は前回りだね」と次の目標等も意識してもらうためです。また日々の職員会議で「すみれ1組〇〇ちゃんが△△の賞状を獲りました」と報告することで、全職員が全園児の様子を理解することが出来ます。
ただ賞状を獲ることが目標ではありません。お家では、フラフープや縄跳びなどを練習して親子の絆作りをする過程が重要です。園に於いては、賞状を目標に子どもが頑張りをみせ、先生方は、それを励ますことで強い関りが構築されます。どちらも同じですが、出来ることだけが目標ではなく、その目標に向かって努力する過程が尊いのです。出来た時は、そのご褒美だとお考えください。
 連休中に、砂場を拡張しました。砂場では、「友達も使っている物を黙って使用しない」「仲良く共同作業をする」「自分で使った物を片付ける」などのルールを学ぶ場の他に、コミュニケーション力(りょく)を身に着ける最適の場です。枠に段差もつけ、遊びが広がるように工夫もしました。子ども達の遊びが広がることを願っています。