12月/電子映像メディアの怖さ

 神奈川県座間市の猟奇殺人事件には恐怖を感じます。短期間に何人もの人間を殺害し、その遺体をバラバラにするという残虐な行為が、なぜ行われたのでしょうか。犯人の乳幼児期からの生育環境も知ってみたいと思います。また、この事件には自殺願望者が利用するサイトやSNSの存在もあります。「辛く苦しいことがあっても、話せる人間がいない」「せめて死ぬ前に自分の気持ちを分かって欲しい」と考えている若者が、いかに多いか分かります。一部報道では「出会い系サイト」で実際に会うことは滅多に出来ないが、「自殺志願者サイト」であれば、すぐ会うことが可能、従って会うために「話を聞かせて!」或いは「一緒に自殺してあげる」と言う人間もいるそうです。SNSなどは便利なものですが、危険がいっぱいあることも再確認したいですね。
 ある調査で、乳幼児にスマホを自由に与えている保護者が80~90%というアンケート結果があり、驚きました。理由は「(スマホを与えれば)泣き止むから」「ぐずった時に(スマホを与えれば)すぐ黙るから」…、この保護者の行動を皆さまはどう感じますか?子どもが何かを訴えている時にしっかり対応することで親子の絆を築いていくのです。じっくり関わるのが面倒だから機械に頼るのでは、良好な親子関係は築けません。
 大学生に「電子映像メディアの怖さ」を伝えた時、ある学生は「自分はスマホ中毒です。スマホがないと不安でたまりません。片時も手放すことは出来せん」そしてこう続けました。「でもまだ自分は良かったです。中学や高校から携帯・スマホを持つようになったから、今の子のように小学生や幼児から触っていたら、どんなになっていただろうと怖くなります」。
スマホ・パソコンの普及で子どもが電子映像メディアに接する機会が急増しています。同じ文章を読んでも、紙媒体と電子映像では前頭前野(脳の性格を司る部分/感じる部分)の感じ方はまったく異なるとの検証結果も出ています。また平面画面を動かずに長時間見ているので、視力の悪化や平衡感覚の麻痺、著しい体力の低下を招きます。
子どもは本来、大人(親)に関わってもらいたいのです。それをテレビ・パソコン・スマホなどの電子映像メディアで代用して自分の心を満足させているのです。しかし長時間視聴や操作を繰り返しているうちに本当に「満足」してしまいます。電子映像メディアで満足すると、「友達遊び」も「外遊び」も「ブロック遊び」や「絵本」までも興味を示さなくなってしまいます。子どもはあらゆるものに興味津々で関わって経験を積んで成長していくことを理解してください。電子映像を出来るだけ遠ざけることが子どもを健全に育てるコツです。